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焼酎蔵訪問記 in鹿児島① -大和桜-

久しぶりに焼酎蔵訪問のため鹿児島はいちき串木野市へ行ってきました!

今回訪れたのは“大和桜酒造”、“白石酒造”、“田崎酒造”の3蔵。

コロナの影響もあり2018年以来の再訪となり、やっと来れた!といったうれしい気持ちでいっぱいです。

メンバーはとどろき酒店スタッフと焼酎LOVERなスタッフの集まる飲食店“小林商店グループ、鳥いち、小烏、鳥安”の合わせて30名の大所帯での訪問となりました。
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いちき串木野市は、鹿児島半島の中部に位置しており東シナ海に接していることから基幹産業であるマグロの遠洋漁業や、約200年前に宿場町として栄えた市来湊など、港町として栄えた背景があります。その中で焼酎文化も花開き現在でも7社8蔵が焼酎造りを行っています。

今回訪れた3蔵は車で5分圏内という近距離に位置しており、短い時間でしたが1日で回ることが出来ました。

まず初めに訪れたのは代表銘柄『大和桜』を造る“大和桜酒造”。

今海から上がってきたのかと思うような完全防備の格好で出迎えてくださったのが杜氏の若松徹幹さんです。

作業中だったようで早速蔵の裏に案内されました。そこには朝運び込まれた芋がケースにずらっと並べられており高圧洗浄機を使い土を丁寧に洗い流しているところでした。

今回は洗い終わった芋から傷んだ部分を取り除き後で仕込みやすい大きさにする『芋切り』を体験させていただきました。

芋は黄金千貫できれいに洗われたおかげで白くツルツルとした美肌になっておりました。芋のサイズは手のひら2つ分の大きいサイズのものもありこれを1日約800㎏処理するのだそうでかなり大変な作業です。
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次に蔵の中へ。そこには焼酎造りに必要な米麹を造る室(むろ)と呼ばれる場所で、ここで米麹を手作りしておりこの作業を行うことで焼酎に“手造り”の表記ができるんだそうです。


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麹室のとなりには地面に埋められた甕壺がいくつもあり、この中で発酵と熟成を行っています。

写真は甕壺の洗い方を身を乗り出して行っているところ。このやり方は同じくかめ仕込みを行う『八幡』で有名な高良酒造でされているのを見てまねられているそう。

蔵のシャッターポイントだからと甕壺の間に立ってポーズを決めるサービス精神旺盛な徹幹さん。

キレイな醪(もろみ)です。こんなにきれいな醪はほかの蔵ではなかなか見ることはできない大和桜の焼酎造りの特徴です。

丁寧な芋の洗浄と選定、また手造り米麹を使うことがこのきれいな醪の状態につながっているそうです。

醪の状態で味見させていただきました。クエン酸からくる酢酸の影響で酸味は強かったですがその中にリンゴの様なフルーティな味わいが感じられ、これはこれで飲めるというスタッフもいるくらい苦みやえぐみの少ないきれいさがありました。
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徹幹さん曰く

「洗練されていてさらに複雑味のある焼酎を目指している。なんとなくかめ壺仕込みでや手造り麹をしているだけだと複雑味でなくてただの雑味になってしまう。」

「毎日芋一つ一つに目を通して洗浄したり、遅くまで残って麹つくりに手間をかけたりするなど要所要所で洗練された仕事のポイントを作ることが複雑味を与えれくれる。音楽でもブルーノマーズが基本はディスコクラシックだけど今っぽい展開とか鳴りが洗練されているからこそそこに良さがあるんだよね。」

と大和桜の焼酎造りの考えとこだわりを音楽や映画を例えにわかりやすく説明していただきました。

しっかりと手間をかけてこだわった造りをしているからこそどんな売り方や飲ませ方をしても芯はぶれずにおいしく飲めるんだなと改めてこの焼酎のすごさを感じました。
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蔵見学の後に何種類か試飲させていただきましたがどれも綺麗さの中に素朴さや奥行きのある味わいが感じられました。

徹幹さんは焼酎をコーラで割ってみたり、温度を変えることによって新たな表情を見せてくれたりと飲み方の新しい提案をしてくれたり、多くのイベントに参加されて新たなシーンに焼酎を持ち込んでみたりと様々な焼酎の可能性を模索されています。
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最近ではフランスの蒸留酒イベントにも参加されて手ごたえを感じていらっしゃるそう。
海外の感覚で新たな飲み方が開発されて世界に広がっていくことになったらと考えると私もすごくワクワクしてきました。

改めて今回のお話には大和桜の造りの考え、本質部分が聞けたと思います。しっかりとした造りの土台があるからこそ、その上で自由に遊べる。その重さと軽さが大和桜の面白さなのかもしれません。
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次は白石酒造へと向かいます。こちらも個性の強さじゃトップレベル。楽しみで仕方ありません。

クラフトマン多田シリーズを手がける天盃へお邪魔してきました!

今回はとどろき酒店との取引が始まって約一年ほど経った「天盃」にお邪魔してきました!

蔵見学の話はちょっと前からしていたんですが「造りをしてない時はただ機械が並んでいるだけで、稼働している時の臨場感が伝わらないので」と言うことで10月に伺うことに。

福岡市内から車で約50分程。

田んぼが広がる長閑な風景が残る福岡県朝倉郡筑前町に株式会社天盃はあります。

創業1898年の株式会社天盃は歴史を感じる趣のある蔵です。

出迎えていただいたのは蔵元の五代目、多田匠さん。

物腰の柔らかい話し方とは裏腹に、焼酎・蒸留酒造りに人一倍熱意を持って取り組んでいる方です。
電話やメールでやり取りするときも、その熱量に圧倒されそうになることが多々あります。笑

クラフトマン多田を立ち上げて5年。

昨年自社醸造を開始したとどろき酒店の「Studio go go ワイナリー」から近いと言うこともあり、お付き合いが始まりました。
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「天盃ってどんな蔵?」

と聞かれると、「世界に誇れる蒸留酒造りで焼酎の可能性を追求する蔵元です。可能性を追求した結果、酒税法上で焼酎の枠に収まらない、先日発売されたアイボリーブラック(スピリッツ)やコーヒースペシャリテ(リキュール)になったりしちゃうんですよ。笑」

「一言で言うと、クラフト焼酎を通じてお客様の”体験”を提供する蔵元ですね。」と多田さん。
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蔵の中を見学する前に、原料として使用される麦について紹介して頂きました。

天盃では筑紫平野の二条麦を使用しています。
(二条麦はビールやウイスキー、六条麦は麦茶などに使われます)

精麦(お米で言うと精米、外皮を剥いて加工すること)は一般的な削り方ではなく、精麦会社に特注で削ってもらっています。コストはかかりますが、そうしないと天盃が目指す香りや味が表現できないからだそう。
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そして絶賛仕込みを行っている蔵の中へ。

天盃では一般的な焼酎造りと違い、醸造はほぼ日本酒と同じ造り方で、蒸留はウイスキー・ブランデーに近いやり方を採用しています。

これも天盃が目指す香り・味を実現させるためで、焼酎用の酵母を使用せず清酒用酵母を使用して醸造を行うもの同じ理由です。(※酵母とは:お酒を造るときに欠かせない存在。原料に、決められた条件下の元で酵母を加えることで、原料の糖分をアルコールと炭酸ガスに換えてくれます。)


日本酒でも使われる酒母タンク


こちらは絶賛発酵中の仕込みタンク
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日本の焼酎蔵で唯一二回蒸留を行う天盃の蒸留器は完全オリジナルのもので、毎年四代目の多田格さんと五代目の匠さんが毎年カスタマイズしてるそう。

そのため、蒸留については社員さん向けのマニュアルを作るのが難しく、蒸留中は蒸留器の構造を理解している四代目の多田格さんか五代目の匠さんどちらかが必ず付いて蒸留の状態を確認しているそうです。

ウイスキーはアルコール度数を上げるため、2回蒸留を行うそうですが、天盃では味・香りのために2回蒸留を行っています。

「2回目の蒸留は、一般的な焼酎と違って完全無添加で濾過を行わないため、雑味を取り除く目的と、ダイヤモンドを磨き上げるかのように、どのような味に仕上がるかをこの蒸留の工程で最終的に調整する目的でやるんですよ。」と多田さん。
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蔵見学の後は近日発売される二種類の新商品、「クラフトマン多田2101」と「クラフトマン多田スパニッシュオレンジLimited Edition」を試飲させて頂きながらお話しさせていただきました。


ずらっと並んだ天盃のお酒たち。

運転手の僕は、敷地内の井戸から組み上げられる水脈の異なる二種類の仕込み水を試飲させていただきました。硬度27㎎/ℓと硬度49㎎/ℓの水は思ったより違いがあり、硬度27㎎/ℓの方はよりまろやかで、硬度49㎎/ℓの方がスッキリと味が締まるといった感じでした。

「クラフトマン多田2101」は一緒に同行したとどろきスタッフ曰く、味わいはしっかりあり余韻の香ばしさはあるもののスルスルと飲めてしまうそう。

「クラフトマン多田スパニッシュオレンジLimited Edition」は通常のスパニッシュオレンジよりも香りが豊かで柑橘感が強く、ソーダ割にとても合いそう!との事でした。
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今や天盃の代表銘柄として認識されるようになったクラフトマン多田シリーズのコンセプトは、料理がより美味しくなる食中酒。

スパニッシュオレンジ”は、軽い味わいの料理、塩やポン酢など酸味のきいた味付けの料理と、”キャンティブラウン”は、濃い色合いの料理、タレやソースなどの煮込みの料理との合うように造られています。

コーヒースペシャリテはコーヒー好きな人に新しい体験として飲んでもらい、飲んでもらうことでホンジュラスの農家に適切な対価が支払われ、またホンジュラスの農家で高品質なコーヒーが生産されるという良い循環ができれば、とも話してくれました。


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どういう人に天盃のお酒を飲んで欲しい?

「クラフトマンシリーズは、日本酒やワインのように料理とお酒を合わせる(ペアリングする)と言うこと日頃からやっている人に対して、焼酎でのこんなことができるんだという新しい体験として飲んでもらいたいですね。」

「炎ラベルは、焼酎ビギナーの人にも、最初に日本酒・焼酎を飲んだ時の印象が悪すぎて嫌いになった人にも、一度美味しい焼酎のソーダ割りを炎ラベルで味わってほしいなと思ってます。」と多田さん。
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ちゃんとお客様を繋ぎ止める、一家に一本の常備酒のようなお酒になるのが目標と語る多田さんはこれからも焼酎・蒸留酒の新しい可能性を提案してくれると思います。

多田さん、天盃のスタッフのみなさんありがとうざいました!


最後に事務所の前でパシャリ。4.5Lのスパニッシュオレンジと一緒に。

暑〜い今でも、ちょっと涼しくなった1ヶ月後でも。付き合いの良い白ワイン by しゅがー

もう8月も終わったんですね…。
近所の小学生たちは8月31日を待たずして学校に通い始めてるみたい。
「夏らしさ」みたいなものが殆ど感じられないまま、このまま寒くなっていくのかなー。
そんなことを思いつつ、フジファブリック「若者のすべて」を聴いて、
せめて夏の終わりのノスタルジーを高めていく24歳の夏。しゅがーです。

今年は自社ワイナリー、studio gogo winery の稼働初年度ということで、
僕も時折お手伝いに行っているのですが、福岡のブドウは今が収穫真っ盛り!
ブドウのコンディションと天気予報をにらめっこしながら、ドタバタと収穫や仕込みを行ってます!

僕自身もとどろきに入社してから初の本格的な仕込みを体験中。
緊張感と疲労感、そして喉の渇きがいつにも増してスゴい!

そんなときの「デュポンファン」の白、ウマいっす…。
サラサラ〜っと飲めるというよりもしっかり味があるタイプ。
一杯目にビールをキュっとやってから、
こういう味のあるワインを飲むと疲れた体にぐーッと沁みこんできますね。

白桃や花梨など、丸みのある甘さ、華やかさがお好みの方は「ショーム・ド・ペリエール」。
「アリゴテ」の、柑橘系の爽やかな口当たりからクリーミーなコクの伸びも素晴らしい!
(僕はアリゴテ推しです♡)

どちらも味わいは違うけれど、伸びやかな酸と潔い後味のキレは共通していて、
高級感はありつつもしつこくないのが家飲みにも贈り物にも良い感じ!

今飲んでも美味しいし、涼しくなってきたら、
こういうしっかりした味わいのあるワインはますます美味しくなりますね…。
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白ワイン.
ブルゴーニュ アリゴテ 2019.
レイモン・デュポンファン / フランス ブルゴーニュ.
750ml3,740円(税込)

ローズボッサ2020の収穫


今年もローズボッサ(の材料になる巨峰)の収穫&仕込みに、
スタッフのみんなで田主丸に行ってきました。

おおまかな手順は、こんな感じ。

収穫
袋つきのまま、房の根元をぱちりぱちりをハサミで切っていきます


選果
袋を開けて、房の一粒一粒を点検し、病気のものや色づきが悪いものをよけていきます。
今年は梅雨が長かったせいか、一房一房が去年よりも小ぶりな印象でした。

徐硬・破砕
徐硬・破砕機にいれて、果実をつないでいる茎の部分(果梗)を取り除いて、果実を軽く潰していきます。

搾り
プレス機を使って搾ります。簡単にいうと、プレス機の中で風船のようなものが膨らんで、その圧力で果実を搾るという仕組みです。量にもよりますが、圧力を調整してじわりじわりと1時間半〜2時間くらいかけて搾っていきます。

果汁ができあがり!
この搾りたての果汁を飲むのが毎年楽しみ。
この果汁の印象が、できあがりのワインにも反映されます。

この果汁が2-3日で発酵を始め、ワインになっていきます。
商品として店頭に並ぶのは、11月のヌーヴォくらいの時期かな。。

そういえば、昨年仕込んだ2019がいまおいしいです!
ふわっと巨峰が香って、口の中に広がるやさしい果実感。
しっかり冷やして飲み口の薄いグラス飲むと、かぷかぷいけちゃいますよ。

ローズ・ボッサ 2019 by studio gogo
福岡の料理には 福岡のワインやろーもん。 「福岡のお米で造った日本酒があるように 福岡のブドウで造ったおいしいワインが飲みたい!」 と 2014 年よりスタートしたとどろき酒店のプロジェクトです。ローズ・ボッサは巨峰ワイナリー協力のもと委託醸造しています。
studio gogoとは、とどろき酒店が企画運営するおいしい福岡県ワインを実現するためのプロジェクト、ブランド名です。

庭のうぐいす古賀杜氏を招いて久しぶりの勉強会

不定期に行なっていたスタッフの勉強会。
3月頃からしばらくお休みしていましたが、感染対策に気をつけながら久々に開催しました。

今回は庭のうぐいすの古賀剛杜氏を講師に迎えて。

古賀杜氏は、とにかく熱い! トークがおもしろい! 会うと好きになる!
杜氏さんです。
蔵に見学に行くと、一番笑う蔵かもしれません。
酒造りについて難しい言葉を使わず、詳しくない人でもわかるように噛み砕いて話してくれます(しかもおもしろおかしく!)。

釣り好きで料理好き。
ボス轟木との付き合いも長く、かつての釣り飲み仲間でもあります。
最近も自分で釣った魚でアクアパッツァを作り、白ワインを飲んだとか。
そうそう古賀さんは最近、うちのワインスタッフ大坪のセレクトにはまっているそう。

さて、肝心のお酒のはなし。

庭のうぐいすといえば、かわいいうぐいすの絵のラベル。
このうぐいすラベルは、とどろき酒店本店がいまの場所に移転してきたと時を同じくして誕生したお酒(2001年頃、もう20年近く前!)です。
定番のお酒でありながら、毎年毎造りアップデートされています。
どんどんおだやかに、飲み続けられるようなお酒を目指しているそうです。
うぐいすラベルの基本となる純米酒(みどりのうぐいす)を今回改めて飲んでみると、
冷やしすぎない方がいい感じの酸が感じられて個人的に好みでした。

今回試飲のお酒の中で特においしい! とざわついたのが、北島さんという契約農家さんのお米を使ったお酒です。
古賀さん曰く、「北島さんはヘンタイ(良い意味で)よ!」。
北島さんのお米で造った「北島80」は、少し前に赤いうぐいすで限定商品として登場してあっという間に完売しました。
また次に登場したらご紹介しますね!

☆庭のうぐいすのお酒はこちら