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焼酎蔵訪問記 in鹿児島② 〜小牧醸造〜

佐藤酒造に引き続き、蔵見学をさせて頂いたのは主に一尚シリーズを手がける小牧醸造(株)。
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盆地になっており夏は暑く、冬は寒い気候が特徴的なさつま町、福岡の筑後川に次ぐ規模である川内川を隣に蔵を構えるのが今回訪問した小牧醸造です。
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蔵の周辺は極めて水質の良い清流にしか生育しないカワゴケソウの生育地であり、風光明媚な風景に圧倒された一同。
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蔵に到着して早々まずは試飲から。
一尚シリーズを初め、各焼酎を蔵の方々が家で飲む飲み方で試飲させていただきました。
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フラッグシップとも言える「一尚シルバー」はほんの少しだけ加水する「ちょい水」で。一尚シルバー特有のナッツのようなスモーキーさが優しく広がり、気持ちのいい滑らかさに試飲ながらグラスが進みます。(下記画像左から2番目)
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小牧ブランドの最上位モデル、「紅小牧」は炭酸割りで!しっかりと甘みを感じ、これもスルスルと…
この紅小牧に使用されている芋は紅さつまと言い、よく芋焼酎に使用されているコガネセンガンに比べ、もとぐされ病といった病気に非常に弱く収穫できないこともあるそう。
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しかし昔から契約している農家さんにお願いして特別に作ってもらっているそうで、農家さんとの信頼関係の深さも伺えます。(上記画像左端)
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ここでふとした疑問が。
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「小牧醸造のロゴの意味ってあるんですか?」
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商品の名称が記載されていることが多い焼酎のエチケットですが、一尚シリーズはこの特徴的なロゴが目を引きます。もちろんこれには意味があり、小牧家の家紋「丸に花菱」をいじったものとのこと。丸を太陽、菱形をさつまいもに見立て、「さつまいもを使ったものでテッペンを目指す」という意味が込められているとのこと。
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また、漢字で書かれているだけでは海外の人が頼みづらいのではないか、ということで言わばピクトグラムとしての役割も担っています。
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香りや味わいだけでなく、ロゴの持つ役割や意味を知ることでより一層一尚というお酒の理解が深まった我々でした。
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試飲も程々に次は実際に焼酎の生産過程を見学させていただきます。
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小牧醸造の焼酎と言うとやはり甕仕込み。創業から脈々と受け継がれている甕には様々な菌が住み着いており、それらの力により小牧醸造が生み出す焼酎が発する特徴的な豊かな香りが現れます。
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もちろん全てが創業当初より使用しているものという訳ではなく、天災や劣化により破損してしまったものもあります。しかし現在は新たに甕を製作する職人さんもいなくなってしまった為、造りを辞めた蔵等から甕を譲って貰い伝統的な甕仕込みを続けています。
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そうして継承される形で次の10年、更に次の100年を見据え、小牧醸造のお酒は受け継がれていくのだなと感じました。
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115年目を迎えるにあたってこれまで3回の水害にあい、その度に復興を遂げてきました。
2006年7月の鹿児島県北部豪雨災害では隣接する川内川が氾濫し、蔵のほぼ全てが水没してしまったとのこと。
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先程まで我々が見ていた仕込み途中の焼酎はもちろん、今いる建物すら一度は水没してしまった…実際に蔵の全体を見学したうえでこの話を伺うと被害状況を生々しく実感します。
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それと同時に絶望的な被害状況からここまで復興するにあたって、蔵人を初めとする小牧醸造に携わる全ての方々の「必ず再建する」という執念や思いにより今があり、それは今後も「挑戦」という形で紡がれていくのだなと感じました。
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(増水により天井付近まで水が上がってきたらしい…)
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現在はこれまで焼酎で培ってきた技術を応用しウイスキー造りにも挑戦しているそうです。
世界的蒸留酒であるウイスキーを自分たちがこれまでの焼酎造りで自信を持っている蒸留技術をもって挑戦することで、世界に誇るジャパニーズウイスキーを生み出し、ひいては焼酎の認知度を世界に広めることに努めるとのこと。
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これまでの100年を次の100年に。まさに温故知新という言葉を体現している小牧醸造の創る未来に目が離せません。
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小牧醸造のお酒はこちらから

焼酎蔵訪問記 in鹿児島① 〜佐藤酒造〜

昨年に引き続き今年もとどろき酒店プレゼンツ焼酎蔵見学ツアーとしてやってきたのは、鹿児島県は霧島市にある代表銘柄「佐藤」を醸す佐藤酒造(有)です。

私自身初めての焼酎蔵見学だったので、ワクワクが止まりませんでした!!
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佐藤酒造は明治39年(1906年)に創業し100年以上の伝統を誇る鹿児島の伝統的な本格焼酎を作る蔵です。
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鹿児島中央駅に降り立ち1時間ほどバスに揺られながら、森の中を抜けて少しすると佐藤酒造は見えてきます。
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バスを降り最初に見えるのは自分の持つイメージとは裏腹に、まるで工場かと見間違うような3階建ての建物。
これが佐藤酒造です。
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今回案内して頂いたのは、現在杜氏をされている佐藤さんにして頂きました。
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鹿児島県内では年間の醸造量が小さな蔵では200石、大きな蔵では15万石と幅広くある中で佐藤酒造は現在年間4000~5000石を醸しており、これは県内の全焼酎蔵の中では中間の位置にあたるそうです。
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芋焼酎造りのスタートアップは米麹を作るところから始まります。
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蒸しあがったお米に種麹を混ぜ、白麹の第一発見者である河内源一郎の名を取った、河内式自動製麹機と呼ばれる機械に入れる事で米麹へと変化して行きます。
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この米麹造りを失敗したらリカバリーがきかないと言うほど、大事な工程です!
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そして完成した米麹に水と酵母を添加する事で1次仕込みの開始です。
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桶の中では発酵と糖化が同時に行われており、この仕込みは5日間かけて行われています。
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焼酎造りは生き物の飼育と同じと言ってた佐藤さん、その言葉通り仕込み4日目の醪ポコポコと動いており生き物そのものでした。
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そして5日間の1次仕込みが終わったあとは現在料の芋を入れての2次仕込みです。
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焼酎造りにおいて自分達が直接手を加えることは少ないため、2次仕込みの桶だけでも自分達で混ぜるようにしたという佐藤さん。造り手の愛情を存分に感じました!!
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次に見学したのは、原料となる芋を加工する場所です。
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ここでは、常に16人の方が芋の加工をしており、1人あたり1日平均約500kgの芋を加工するそうです。
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原料の大部分を占める芋のクオリティの追求をとても大事にしており、芋の隙間に入っている土や傷んでいる部分などの味に影響する部分は徹底的に除去します。
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”誰かに向かって仕事していることを1番に意識している”と佐藤さんは仰られていました。
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このようにして仕込まれた醪達は蒸留、貯蔵、熟成、濾過といった様々な工程を経て私たちの口元へと届きます。
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今自分達が造っている物が誰の元に届くのか、そして造った物に対してのリアクションがすぐには届かないからこそ、目の前の造りをいかに丁寧に行えるかが大事だと佐藤さんは言う。
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工場見学の後は佐藤酒造の代表銘柄『佐藤 黒』と今年蒸留した新焼酎、『あらあら酒 黒』をお湯割りにして試飲させて頂きました。
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作り方としてダメな例の焼酎▶︎お湯、オススメしているお湯▶︎焼酎のふたつの作り方でお湯割りを飲ませて頂きましたが”味が違いすぎる!!!”
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2つとも味わいは異なりますが、どちらも1口飲んでわかるほどにお湯▶︎焼酎の作り方では味のまとまりや原料である黄金千貫の素朴な甘さと風味の広がり方の違いを存分に感じることが出来ました。
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「見えない消費者が居ることを意識した仕事」や「焼酎の原料となるもののクオリティの徹底」を何度も力強くお話されていた佐藤さんの努力がこの焼酎達には間違いなく落とし込まれているのを感じました。
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これからますます寒さが厳しくなってくるこんな時期には、佐藤のお湯割りでホッと一息ついてみませんか?
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寿福酒造場へ行って来ました!(というか実はだいぶ前に行ってました…2022年11月)

この日訪れた蔵のひとつ『寿福酒造』。明治23年(1890年)創業のこちらの蔵は,田町菅原天満宮の真向かいに佇んでおり、球磨の豊かな水と山々に囲まれて、その土地の神様、そしてその土地の人々と共にその歴史を歩んできました。
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私たちが到着すると豪快な女性の笑い声、一際大きな体格の男性の姿が。寿福酒造の社長であり四代目杜氏の絹子さんと、五代目現杜氏の吉松良太さんです。
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囲炉裏を囲んで談笑した後、早速蔵の中を良太さんに案内していただく運びとなりました。
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その壱‥【麹造りが焼酎造りの鍵を握る】
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使用するお米は新米で地元のもの。蒸してそのまま食べても美味しいものを使うそうです。ただ古米やタイ米などに比べて蒸したお米に粘り気があるため、麹菌を満遍なくつける種付けは,蔵のクセを読みながらの作業となります。
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ここ麹室での作業は精神力と体力を80%以上削られるとのことなので、まさに精神と時の部屋。文字では伝わりにくいですが,マジできついそうです。しかしここで失敗をすると挽回は厳しいので、長年の経験により得られた『感覚』と『熟練された技』を最大限にフル稼働させます。
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その弐‥【掃除に始まり掃除に終わる】
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蒸留後、蒸留釜の隅から隅までピカピカに掃除をするとのこと。清潔な環境でじっくり手間暇かけてやることが良い焼酎造りの大前提だそうです。掃除に始まり掃除に終わる、さまざまな分野のプロに共通していることなのかもしれません。
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その参‥【一生懸命造って、飲み手に美味しいと言ってもらえること】
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寿福酒造の焼酎は、造り手の誇りと魂を注ぎ込んだ手造り焼酎の逸品。『一杯飲んでもういいや』ではなく、『一杯飲んで、もう一杯飲みたい』を体現しています。
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良太さん曰く、『飲んだ時に素材のしっかりしたコクや味わいがありつつ,スッキリした後口。これが美味い焼酎』
水害や地震,そしてコロナという様々な苦境に立たされた時,飲み手の『美味しい』という言葉を原動力にして乗り越えられてきたそうです。自分が全身全霊頑張らないと,この『美味しい』という言葉を素直には受け止めることができない。だからこそ一生懸命造って最高のものを提供する。この信念のもと日々焼酎造りと向き合っています。
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その四‥【造り手が愉しく飲む姿を見せる】
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近年、若い世代のお酒離れが話題になることが多いですが、実はこのお酒離れというのは若者に限った話ではないようです。総務省の家計調査では40代や50代もお酒離れしている傾向にあるとのこと。
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私も日々、どのようにしたらお酒の魅力をより多くの人に伝えることができるのかを考えているのですが、造り手の方はその点をどのように考えているのか気になったので実際に聞いてみました。
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『我々が愉しく飲む姿を見せることですね』
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お酒は飲むシュチュエーションで味が変わる。精神的にツラい時のお酒の味はやはり辛くなる。そういうお酒もあってもいいと思いますが,気の合う仲間・恋人・家族等、愉しく飲むお酒はどんなお酒でもやっぱり美味しい。そういった意味ではお酒の提案はもちろん,愉しく飲むそのシュチュエーションを提案するのも私たち売り手の役割なのかなと個人的には思いました。
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力強くも温かく包み込んでくれる、そんな寿福酒造の焼酎。今宵の一杯にぜひいかがですか。

寿福酒造場のお酒はこちらから

焼酎蔵訪問記 in鹿児島③ -たなばた-

大和桜酒造、白石酒造につづいて、3軒目の蔵、田崎酒造へ。

先程うかがった白石酒造から車でなんと5分かからない!大里川をわたり田園風景を眺めながら少し進むと田崎酒造はあります。

『田崎酒造』は明治20年創業。名水を求めていちき串木野に蔵を構え135年余りという歴史のある蔵であり、鹿児島県内でも規模の大きい設備を整えた蔵でもあります。原酒の長期貯蔵による熟成に早くから注目し、芳醇で深い味わいのある本格熟成焼酎の普及に力を入れています。
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社長の松林 忠臣さん、杜氏の野崎充紀さん、製造の関本真矢さんが出迎えてくださいました。

ねじりはちまきがとってもお似合いの野崎杜氏。初めに蔵の説明をしてくださったのですが、『ここは蔵ではなく、町工場です!』と笑顔でひとこと。『町工場の意地で味わいの世界で勝負したくて頑張っております』と力強くおっしゃっていました。
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今回は製造の関本さんに工場を案内して頂きました。

関本さんは県外から鹿児島に移住され、ご自身が「お酒が好き」であること、「誇りに思える仕事をしたい」という思いがありご縁あって田崎酒造に入社されたそうです。
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敷地内には大きなシャッターのある建物、中に入るとこれまた大きなタンクや蒸留機、芋蒸し機などなど。

太いパイプがいくつも張り巡り、すごい音でモーターが動いていました。何もかも想像してたより大きい!タンクひとつ見学するのも階段で昇り降り。高い場所が苦手なスタッフにはちょっと大変だったようです(笑)

麹の過ごしやすい環境を作ってあげるため、工場内はもちろんタンク内も一定の温度になるよう徹底された温度管理。

発酵が始まるとあえて手を加えず、そのまま自然にまかせてかくはん、熟成させるようです。
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見学中に醪を飲ませていただくことに。

関本さん曰く、醪を毎日飲むことで理想とする(目指す)味にするにはどうすればいいか考え実践し調整するのだそうです。

天候や気温など同じ条件下の日なんて1日もないので試行錯誤の日々だが、毎日違う顔を見せてくれる、それがすごく楽しい…と。へへへっと笑顔で話されていました。
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工場見学の後は田崎酒造の代表銘柄『七夕』と焼き芋を使った『みとら』の新焼酎、10月から発売開始された『口笛』を試飲させて頂きました。

3つとも味わいは異なりますが、どれも飲みやすい。特に新発売の『口笛』は華やかでフルーティーな味わいを減圧蒸留ではなく常圧蒸留でなんとか表現できないかとチャレンジされた逸品。ほんのりライチを感じさせるような『本当に芋焼酎?』と思わせてしまいそうなフルーティーさ、飲みやすさ。これはソーダ割りがとっても合いそうです。
ラベルや商品名もとっても素敵で個性的。本当に魅力的な商品ばかりです。

この大きな工場での製造は基本3人でされているそうです。(とどろき酒店スタッフ一同驚き!!)

そんな中でも若手を育てながら『毎日明るく楽しく造ってます!』と話されてる野崎杜氏の優しい笑顔がとても印象的でした。

焼酎蔵訪問記 in鹿児島② -天狗櫻-

大和桜酒造の次は、天狗櫻を造る白石酒造の白石貴史さんが自身で芋を栽培している畑がある池ノ原地区へ。

畑づくりが一番大事という白石さん、到着早々全員がバスから降りきる前に畑についての熱い話が始まっていました。

いちき串木野では農家の高齢化が進み、耕作放棄地となっている畑が数多くあります。

その土地を持ち主の方々にご理解・ご協力をいただき、土地を借りて白石さん自身で畑を開墾し、さつま芋を作る取り組みを行われています。

今回お邪魔した池ノ原地区は、一番標高が高いところにあるため霜が降りず、粘土質で白石さんいわく「粘土質の土壌は養分が流れにくく、娯楽性があり面白みのある芋が取れる」そう。

芋を植える間隔は15cmと狭く小ぶりな芋になりますが、芋の皮の周りに香りのもととなる物質が含まれるため、あえて小ぶりにして皮の表面積を増やし、小さくて澱粉のある濃縮した芋を作るためだそうです。

白石さんの畑は肥料を入れず完全無農薬で栽培するため、一度使用した畑は2年ほど休ませます。

その間にいろんな種類の草や花を栽培し、虫の死骸やふんを肥料に、ゆっくりと畑を循環させるため、周りの農家さんからは「草栽培家」と言われているそう。笑
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この池ノ原地区の畑で一行は芋掘りを体験させていただきました。


まずは芋掘り


掘ったものをトラクターで集めて


仕分け

10月末の簡単な作業にもかかわらず、作業していくと汗だくに。

芋掘りを体験させていただくと、確かに大和桜で見せていただいた芋より一回り小さいのがわかります。
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その後、池ノ原地区を離れて白石酒造にお邪魔して最近発売されたラインナップを試飲させていただきました。


前列右奥から順に南果(25°&原酒)・紅はるか(25°&原酒)・混植栽培(25°&原酒)・熟成酒(2017年)・開墾畑(生福地区)・天狗櫻(レギュラー商品)

■南果(注ぎ口付近にオレンジ色のシール)
・・・「南国系のフルーツをイメージして作っている」という南果は、名前の通りマンゴーのようなトロピカルなフルーティさ。

■紅はるか(ピンクのシール)
・・・南果とは違ったフルーティさがあり、華やかで甘酸っぱくベリーのよう。

■混植栽培(グレーのシール)
・・・同じ堀地区の畑で11種を栽培してブレンド。単一の芋ではないため複雑で、飲んだ後の余韻でいろんな芋の味の特徴が感じられる。

これらの小仕込みシリーズは、試験酒として薬瓶のようなものをイメージしているそうで、ラベルも薬棚に並んでいるようなものにされています。評判がいいものは南果のように年一回発売されるようになるそうです。

また、開墾畑(生福地区)・定番の天狗櫻や、今後発売予定の熟成酒2017年製も試飲させていただきました。

毎年多くの天狗櫻シリーズをリリースしている白石酒造ですが、仕込んだものの中で一番出来がいいものがレギュラーの天狗櫻として発売されるそう。個人的にレギュラーの天狗櫻が一番好きな僕としてはとても納得。
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試飲を終えたあと、白石さんに蔵の中を案内していただきました。


貯蔵庫の前で説明する白石さん

収穫した芋が最初にやってくるのが貯蔵庫。
この時期(10月下旬)になるとこの18~20°の室温になり、ここで芋を一ヶ月ほど脱水・熟成させます。
脱水・熟成させることで密っぽい甘味がでて、芋の特徴がよく出てくるそう。

その後芋は蒸されて仕込みへ。


仕込み中の甕

仕込みについては、毎年色々なことを試行錯誤されているそうですが、今年はなんと醪(もろみ:製麴された麹を水と酵母と混ぜ合わせ、温度管理をしながら麹を発酵させていく工程)には酵母を入れず、水と麹を入れて待つだけ…!

発酵が始まるまでかなり時間がかかりますが、味わいがとてもきめ細かくなるそうです。

また、米に澱粉が多く含まれるため一次仕込みだけ温度管理を行いますが、基本的に冷却はしないそう。
これは「芋が居心地がいいように」色々試した結果とのこと。

蒸留に関しても、色々と試行錯誤を重ねてきた白石酒造の蒸留機はなんと!木・ステンレス・すず製と三種類!!!

発酵の風味を出しやすいものや組み合わせる事で口当たりが柔らかくなるものなど、どの蒸留機を使うかで味わいが変わってくるようです。
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これまで20年間やってきて「野菜も肥料を加えないと育てるのにすごく時間がかかるけれど、年輪が出て歯応えも良くなる」ことや、「素材が良ければそんなに手もいらないんだな」ということに気付き、現在は畑作りや収穫時期に重点を置いて芋の原料特性をとても大事にしているそう。

「基本テクニックだけじゃおいしくはできない」「旬のものでいい状態のものでなければ感動できるものは作れない」と繰り返し話してくれる白石さんはなんだか自然派ワインの生産者のようにも見えます。
(打上げで、白石さんはワインも好きだそうで自然派ワインの生産者にも影響を受けていると話してくれました)

これからも白石さんが目指す「飲んだ時にその土地の景観が浮かぶような安らぐ感じ」を焼酎で再現するため、日々畑や焼酎造りに励んでいます。
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最後は、つん・ぷう・みとら等こちらも個性的な焼酎を造る田崎酒造にお邪魔します!