みっちみちのスケジュールだったロワールをあとに、ボルドーへ向かう朝。
出発までゆっくりできたので、楽しみにしていた散歩がてらのパン屋めぐりーーー!!でしたが。
この日はパン屋さん、どこも閉まっていました…。たしか水曜日。月曜に閉まっている美容室が多いのと同じ感じなのでしょうかね。
でも近くの公園でのんびりと、ぼけ~っといい時間を過ごしました。
ロワールのトゥールからボルドーまで約350キロ。
高速を降りてデスクランブ(サンテミリオンの近くにあります)に近づくにつれて景色はまたまたブドウ畑一面。
アンジュー、サンセール、プイィ・フュメの景色にも驚きましたが、それ以上。
ずーーーーーーーっとブドウ畑。
さすが2大産地。ずっと。畑。畑。
石垣があって門扉があって。さすがシャトー!
サンテミリオンに少し寄ってモノリス教会(巨大な一枚岩をくりぬいて造ったと言われています)を見て、お昼ご飯を食べ。お店からでたら、これから向かうデスクランブの先代、ジェラールに偶然会いました。
今回はお会いできないと思っていたので、ラッキーです。現地アテンドの方が一番テンション上がってました。
そしてまた一面ブドウ畑の中を走り、ボルドーの草分け的存在、デスクランブへ。
サンテミリオンから南に6km ほど南下した、ドルドーニュ川沿いにシャトーはあります。
道中、さんざん「シャトー」たるものを目にしてきた私たち。
デスクランブはシャトーといっても、メドックのあの豪勢な建物ではなく、ごく普通の住まい、ガレージでした。こんなTシャツ着てきちゃったけど…と心配していた私はホッとしました。笑
現当主は3代目のオリヴィエ。2015年からシャトーの全てを管理しています。
笑顔は見せてくれたけど、人見知りっぽい?かなという印象。
畑はブドウの樹の高さが高い!霜の害を避けるため、地面から実がなるところまではしっかり高さをとっているそうです。
あまりの暑さに畑はそこそこに醸造所内へ…。
オリヴィエの祖父ジャン=アルマンが、1954 年からビオ農法を提唱し続け⼈で、当時農薬等を使った近代農法が隆盛を極めていたボルドーの中でまさに異⾊の存在。
2代⽬となる父ジェラールがワイナリーを引継いだ1970 年代以降も、ビオはむしろ忌み嫌われる存在だったそうです。このころから、ジェラールの反バイオテクノロジーの姿勢を⽀持し、ワインを通じて仲が良くなった著名な漫画家が手掛ける⾵刺画をラベルに用いるようになります。その数は多いときでなんと30種類!ボルドーのお堅いイメージを茶化すかのような遊び⼼満載のエチケットばかりです。
このラベルはうちでも定番。
ワインが飲みたすぎて棺桶から出てきちゃう。
祖父の⼝癖であった「良いワインは良いブドウがあってこそ」という遺⾔を⼀番の信条に、父から息子のオリヴィエに引き継がれます。
父ジェラールの造るワインは、酸をしっかり残して、長期熟成にむくタイプ。若いうちは酸があるので飲みにくいのですが、その代わり熟成したときの味わいは官能的。
オリヴィエは、人一倍熟成中の「酸化」に敏感。むやみにタンクや樽を開けて試飲はしないそうです。というのも、オリヴィエの造るワインは酸がきれいに柔らかく残った割と早いうちから楽しめるタイプ。なので、リリースされる時の味わいを緻密に計算しているんだろうなと思いました。
醸造に使う機械もちらっと目に入りましたが、どれも独特な形。
普通なら2人で作業するところを1人でできるようにオリヴィエの手造りの機械が多いとの事でした。こんな機械なのもマシーンでの収穫も、全てワインの品質向上とリーズナブルな価格を両立させるため。年々オリヴィエのつくるワインが美味しくなっていますが、裏のこういう、私たちには見えない努力によってコストパフォーマンスの高いワインが産み出されていたんですね…。
帰り際に現地アテンドをして頂いている方が、車のキーがない!と騒いでいたのにはオリヴィエもすごく笑っていました。
そんな笑顔に見送られて次はカスティヨンのシャトー・ド・プラドへ。