大和桜酒造の次は、天狗櫻を造る白石酒造の白石貴史さんが自身で芋を栽培している畑がある池ノ原地区へ。
畑づくりが一番大事という白石さん、到着早々全員がバスから降りきる前に畑についての熱い話が始まっていました。
いちき串木野では農家の高齢化が進み、耕作放棄地となっている畑が数多くあります。
その土地を持ち主の方々にご理解・ご協力をいただき、土地を借りて白石さん自身で畑を開墾し、さつま芋を作る取り組みを行われています。
今回お邪魔した池ノ原地区は、一番標高が高いところにあるため霜が降りず、粘土質で白石さんいわく「粘土質の土壌は養分が流れにくく、娯楽性があり面白みのある芋が取れる」そう。
芋を植える間隔は15cmと狭く小ぶりな芋になりますが、芋の皮の周りに香りのもととなる物質が含まれるため、あえて小ぶりにして皮の表面積を増やし、小さくて澱粉のある濃縮した芋を作るためだそうです。
白石さんの畑は肥料を入れず完全無農薬で栽培するため、一度使用した畑は2年ほど休ませます。
その間にいろんな種類の草や花を栽培し、虫の死骸やふんを肥料に、ゆっくりと畑を循環させるため、周りの農家さんからは「草栽培家」と言われているそう。笑
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この池ノ原地区の畑で一行は芋掘りを体験させていただきました。
まずは芋掘り
掘ったものをトラクターで集めて
仕分け
10月末の簡単な作業にもかかわらず、作業していくと汗だくに。
芋掘りを体験させていただくと、確かに大和桜で見せていただいた芋より一回り小さいのがわかります。
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その後、池ノ原地区を離れて白石酒造にお邪魔して最近発売されたラインナップを試飲させていただきました。
前列右奥から順に南果(25°&原酒)・紅はるか(25°&原酒)・混植栽培(25°&原酒)・熟成酒(2017年)・開墾畑(生福地区)・天狗櫻(レギュラー商品)
■南果(注ぎ口付近にオレンジ色のシール)
・・・「南国系のフルーツをイメージして作っている」という南果は、名前の通りマンゴーのようなトロピカルなフルーティさ。
■紅はるか(ピンクのシール)
・・・南果とは違ったフルーティさがあり、華やかで甘酸っぱくベリーのよう。
■混植栽培(グレーのシール)
・・・同じ堀地区の畑で11種を栽培してブレンド。単一の芋ではないため複雑で、飲んだ後の余韻でいろんな芋の味の特徴が感じられる。
これらの小仕込みシリーズは、試験酒として薬瓶のようなものをイメージしているそうで、ラベルも薬棚に並んでいるようなものにされています。評判がいいものは南果のように年一回発売されるようになるそうです。
また、開墾畑(生福地区)・定番の天狗櫻や、今後発売予定の熟成酒2017年製も試飲させていただきました。
毎年多くの天狗櫻シリーズをリリースしている白石酒造ですが、仕込んだものの中で一番出来がいいものがレギュラーの天狗櫻として発売されるそう。個人的にレギュラーの天狗櫻が一番好きな僕としてはとても納得。
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試飲を終えたあと、白石さんに蔵の中を案内していただきました。
貯蔵庫の前で説明する白石さん
収穫した芋が最初にやってくるのが貯蔵庫。
この時期(10月下旬)になるとこの18~20°の室温になり、ここで芋を一ヶ月ほど脱水・熟成させます。
脱水・熟成させることで密っぽい甘味がでて、芋の特徴がよく出てくるそう。
その後芋は蒸されて仕込みへ。
仕込み中の甕
仕込みについては、毎年色々なことを試行錯誤されているそうですが、今年はなんと醪(もろみ:製麴された麹を水と酵母と混ぜ合わせ、温度管理をしながら麹を発酵させていく工程)には酵母を入れず、水と麹を入れて待つだけ…!
発酵が始まるまでかなり時間がかかりますが、味わいがとてもきめ細かくなるそうです。
また、米に澱粉が多く含まれるため一次仕込みだけ温度管理を行いますが、基本的に冷却はしないそう。
これは「芋が居心地がいいように」色々試した結果とのこと。
蒸留に関しても、色々と試行錯誤を重ねてきた白石酒造の蒸留機はなんと!木・ステンレス・すず製と三種類!!!
発酵の風味を出しやすいものや組み合わせる事で口当たりが柔らかくなるものなど、どの蒸留機を使うかで味わいが変わってくるようです。
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これまで20年間やってきて「野菜も肥料を加えないと育てるのにすごく時間がかかるけれど、年輪が出て歯応えも良くなる」ことや、「素材が良ければそんなに手もいらないんだな」ということに気付き、現在は畑作りや収穫時期に重点を置いて芋の原料特性をとても大事にしているそう。
「基本テクニックだけじゃおいしくはできない」「旬のものでいい状態のものでなければ感動できるものは作れない」と繰り返し話してくれる白石さんはなんだか自然派ワインの生産者のようにも見えます。
(打上げで、白石さんはワインも好きだそうで自然派ワインの生産者にも影響を受けていると話してくれました)
これからも白石さんが目指す「飲んだ時にその土地の景観が浮かぶような安らぐ感じ」を焼酎で再現するため、日々畑や焼酎造りに励んでいます。
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最後は、つん・ぷう・みとら等こちらも個性的な焼酎を造る田崎酒造にお邪魔します!