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栃木のせんきんに行ってきました!

東京から電車を乗り継ぎ約1時間半、栃木県さくら市に「株式会社せんきん」はあります。

蔵の周辺は奥州街道沿いに宿場町として栄え、多くの商家で賑わっていたそうで蔵に眠っていたひな人形を飾り付ける「氏家雛めぐり」というイベントがこの時期行われており商店街の店先に飾られている華やかでかわいらしいひな人形が私たちを出迎えてくれました。

駅から商店街を歩いて抜けていくと独特な温もりとやわらかさを感じる栃木県産大谷石造りの外壁と石蔵が見えてきます。そうその建物こそが「仙禽(せんきん)」を醸す株式会社せんきんです。創業200年以上というだけあって積み重ねられてきた歴史の重みを感じます。

迎えてくださったのは11代目蔵元であり専務取締役の薄井一樹さんと一樹さんの弟で常務取締役で杜氏の薄井真人さん。二人ともお若いっ!

せんきんは「木桶」を用いて伝統的な製法である「生酛造り」*を再現しています。さらに、江戸時代の手法である「酵母無添加」のスタイルは「EDOスタイル」として超自然派な日本酒造りを行っています。また原料の米は完全な「ドメーヌ化」*を行い、蔵に流れる仕込み水と同じ水脈上にある田んぼで作っています。

蔵の中に入ると早速仙禽ナチュールが仕込まれている木桶が!

この桶は吉野杉で作られているそうで、この大きさの木桶を作れるのは現在大阪の会社1社だけとのこと。真人さんのお話によると吉野杉の板目にとても小さな空気孔が空いているそうでそのサイズと酵母の大きさがぴったり合うのだそう。その酵母はその穴に住みついて次のお酒造りにも役に立つのだそうです。びっくりな話ですね!

蒸された米を冷ます放冷作業や麹室での麹ふりも体験させていただきました。

今までいろいろ試してきて、試してきたからこそ最終的にシンプルにしていきたい。余計なものをそぎ落としていけばいくほど優先順位が米にいく、米の本来の味わいを表現していきたいとのこと。オーガニックの亀の尾の使用も開始しておりこれから10年先20年先を見据えてオーガニックの米を育ててくれる農家さんを増やしていきたいと将来を語っていただきました。

今回見学させていただいて、仙禽の酒造りは「木桶」「生酛」「酵母無添加」「オーガニック米」「ドメーヌ化」など時代を逆行しているように見えますが、その味わいと個性は「最新」「進化」「未来」を感じることができました。


写真左が兄の一樹さん、左が弟の真人さん。

*生酛造り…現代主流の速醸(そくじょう)造りが生まれる明治時代中盤まで主流だった、自然の菌の力をそのまま活かしたお酒の製法のこと。キーワードとなるのは、酒造りに重要な「乳酸菌」。速醸造りは人工乳酸を添加するのに対し、生酛造りは自然な状態であらゆる微生物が活動する中から強い乳酸菌をうまくとりこみ育てる。それぞれの造りにそれぞれのよさがある。

*ドメーヌ化…「ドメーヌ」とはフランスのワイン用語で自社畑のブドウを使用し、
自社内で製造・瓶詰まで一貫して行う製造者を指す言葉(せんきんHPより)。


おまけサービスショット(薄井兄弟の立ち位置を確認するための写真でしたが、いい顔してるので勝手に載せちゃいます by田中)