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Sachiko Tejima

Mika Tanaka

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Kano Nakashima

ワインと料理のはなし – 4

きのこの香りと旨みたっぷりスペアリブ煮込み、ピュアでエレガントな時間をかけて楽しむ赤 後編

October 05, 2019
From: 手島幸子
To: 田中美佳
Subject: グローバルな煮込み!?

美佳ちゃんへ

こんばんは。
ワインのテイスティング修行! いいですねー。
味だけでなく香りも楽しめるのがワインの魅力の一つ!
同じ品種でも、土壌や国、そして、自然派の場合、造り手によっても違ってくるから、
面白くもあり、修行をするのは大変そうー!!
けど、修行した分、ワインと料理の組み合わせの幅がグーンと広がりそうなので、
美佳ちゃんにワイン相談するのも、ますます楽しみになりそう。

さてさて、豚肉とポルチーニの煮込みの味つけ、
シンプルに塩のみなんです。
ポルチーニの香りと旨みが、豚肉の美味しさをグーンと引き出してくれるんです。

実は、この料理との出会いは、中国に出張に行った友人のお姉さんから
乾燥した松茸(スライスした状態)をいただいたのがきっかけなの。
中国ではどんな風に料理するのかお聞きしたら、厚めに切った豚肉と乾燥松茸をいっしょに入れて、
塩を入れてやわらかくなるまで煮るのが一番おいしいって言われて、そのままやってみたら、
簡単なのに、すごーく美味しくってびっくりしたの。香りも抜群だし。

ただし、日本では乾燥松茸ってなかなか見ないし、あっても高そう。
イタリアの松茸って言われるほどの乾燥ポルチーニで代用してみたら、全く問題なし!!
ちょっと旨みを引き出すのと、豚肉をやわらかく煮るために、
水といっしょに日本酒を入れて煮るのがテジめし流なの。

ワインに合わせる場合は、白ワインを入れるっていうのもありなんだけど、
酸味がないほうが、テジ好みの味つけ。
そんな訳で、中国とイタリアと、日本が融合した国際的な煮込み料理に(笑)。
隠し味に、ちょっとお醤油を入れたり、バルサミコ酢がアクセントに。

乾燥ポルチーニは、浅草でも大きめなスーパー、デパ地下の食材コーナーに置いてあります。
最近はネットでも買えるので、意外と調達するのは簡単ですよ。

煮込んだ後のスープもめちゃくちゃおいしくて、
リゾット風にしたり、パスタソースのベースにしたり、
もちろん、ワインもすすんじゃいます!
ぜひ、作ってみてくださーい。
美佳ちゃんのおすすめワインの検討会議も楽しみにしてます。

ではでは〜。

テジマサチコ

October 07, 2019
From: 田中美佳
To: 手島幸子
Subject: 飲みたい!

幸子さん

こんばんは。
今日の福岡は気持ちのいい秋晴れ。
店の窓を少し開けて外の空気を入れながら営業をしていたら、
正午あたりには、シュワシュワした泡を飲みたいな。
そして陽が傾いてきてからは、おでんと燗酒もいいなあ、
などと、飲みたい欲がフツフツフツとして困った1日でした。

そして夕食後、いよいよ煮込みを作ってみたのです。
入手した乾燥ポルチーニの出汁と、塩味だけの煮込み。
まさか中国の料理からインスパイアされたものだったとは!

真夜中の台所にポルチーニのいい香り。
鼻からじんわりとおいしい香りが入ってくると、
疲れているときほど自分で料理をするってのがいいのかもなんて思いました。

合わせるワインは2つ。
きんぴらに合わせてみたときから、きのこ類を食べたくなっていたダール・エ・リボのシラー。
そして、この秋必ず飲みたいと思っていた、フルーティすぎないぶどうギュッなイメージのグラムノンのグルナッシュです。
気づけば同じローヌ地方(北と南ですが)のワインです。

開けて数日経っていたシラーは、開けてての華やかな香りはほどけていて落ち着いた雰囲気に。
んーやっぱり合いますね。
そしてこのグルナッシュ、あーやっぱりおいしい!
しかし、煮込みと合わせてみると少しワインの方が強く感じます。
温度をもう少しあげたくなるというか、もう少しワインを緩めたい気持ちに。
しっかり室温に戻していたのですがどうしてだろう。
もう少し空気に触れた方がいいのかな……明日あたり、また試してみます。

乾燥ポルチーニの風味ってすごいですね。
「乾燥」って調理をされていることで、生のポルチーニとはまた違う風味。
少量でも出汁っぽさ、枯れた感じ、乾いた土のような風味が効いてますね〜。
それは生のしいたけと乾燥しいたけとの違いと同じですね。そりゃそうだ。
この乾燥の風味が入ると、イタリアのワインとも合わせてみたくなってきました。
ポルチーニですしね。

初めての乾燥ポルチーニ。私のパワースポット、マキイというスーパーで見つけました。
煮込んでいる間の香りもごちそう。スープまでおいしい。

美佳

October 08, 2019
From: 手島幸子
To: 田中美佳
Subject: 時間がおいしくする

美佳ちゃん

ふふふ、早速、煮込みを作っていただいたなんて!
煮込んでいる時から、ポルチーニの香りがプンプンして、もうたまらないんだよね。
美佳ちゃんの場合、どんなワインにって妄想しながらだね(笑)。

ローヌ地方のシラーとグルナッシュ、赤ワインに合わせて秋深まってきてる感じ。
肉料理だけど、シンプルな塩だけの味つけなので、
同じ赤ワインでも、ワインが勝っちゃう場合があるのかもね。
テジ家の場合、ちょっとエレガント系のピノノワール系に合わせたりしてます。
ポルチーニだから、イタリアワインも気になるね。
やっぱり産地に近い、北イタリアのワインが合うのかな???
引き続き、検討お願いしまーす。

煮込み料理って、時間がかかるから大変そうに思うけど、
実は、鍋にセットしてしまえば、後は火加減を調整して、
お肉がやわらかくなったら味を整えて!って感じで、
時間がおいしくしてくれる料理なの。
意外と手間がかからないので、テジ家の場合、忙しい時こそ作る場合が多いかも。
特に、来客の時はやることが多かったりするから、
前の日に作っておいて、当日、食べる時に温めて!
煮込んだ後に時間が経つと、
これまた、じんわーり味がなじんで旨みが増すので、おいしさも増すような。
三日目くらいが、たまらなくおいしくなってるかもね。

美佳ちゃんの写真、見ていたらお腹がすいてきたー。
最近、テジ旦那と飲みのタイミングが合わずに、ゆっくり飲んでないんだけど、やっぱりワイン空けちゃおっと!
食欲の秋に、ワインは欠かせないね!!

テジマサチコ

October 09, 2019
From: 田中美佳
To: 手島幸子
Subject: 煮込みとの日々

幸子さん

今日がその3日目。
連日、煮込みと赤ワインを合わせてみています。
鍋を火にかけて、ポルチーニ風味の湯気があがってきたところでグラスを準備し、
ポンポンポンとコルクを抜いて飲み始めます。

今日は、店でみんなにも試してもらいました。

「グラムノンはワインが勝つね。アルコールが高いよね」とボスがぽつり。
なるほど、私がグラムノンを強く感じたっていうのは、アルコールの高さが原因だったようです。
2018は暑い年だったそうで、14.5%もあるんです。
煮込み自体がシンプルな味つけなので、このアルコールのボリュームではワインが勝ってしまうようですね。
がっつり赤身のお肉だったりすると、また違うのでしょうけれど。

そして、気になるイタリアワインも開けてみました。
度数が高くなく(現行の2018年はどれもアルコールが高いものが多いようです)、
ボリュームも重すぎないもので、
と選んだのはシチリア(イタリア南部なので、ポルチーニで有名な北とはちょっと違いますが)の
アリアンナ・オキピンティというキュートな女性の生産者のSP68というワイン。
パーンとさわやかな果実味がありながら、重すぎない厚みもあり、
煮込みとは落ち着いたところで交じり合う相性。
問題なく合います。

しかし、これはもう、好みの問題だと思いますが、
私はやっぱりダール・エ・リボ シラーとの相性に心地よさを感じます。
さらに、このワインの開けたての状態との相性も試してみようと、もう一本新たに抜栓。
これもまたいい!
華やかなスミレのような香り、ブルーベリーやカシスのような紫系果実のピュアな甘みとポルチーニの風味が絡み合って鼻腔に抜けていきます。
くー、やっぱり、これですね。
思いつきでブラウンマスタードをつけてみると、これまたいい!
ベースがシンプルだから、他のスパイスで変化をつけるのも楽しそう。
このアレンジの幅を感じさせるところは、きんぴらと通じますね。

開けたての華やかな相性もいい、
数日経って落ち着いたワインと味がしゅんだ煮込みとの相性もまたいい。
ワインも煮込みも数日かけての変化が楽しい。
幸子さんのおかげで、秋の夜が一段と楽しくなりそうな組み合わせを見つけてしまいました〜。
ダール・エ・リボ シラーを送ります。そして来週、ボスといっしょに浅草に伺いますね。
久々のテジめし、楽しみです。

美佳

「某飲食店店主が、アリアンナかわいいかわいいって夢中になってたもんね」とはボス談。
余談ですが、このワインを見るたびに思い出してくすりとなります。
使われているぶどうは、フラッパートとネロダヴォラの2種類。
どちらもオキピンティのあるシチリア南部ヴィットーリアに起源を持つ土着品種です。
次回は11月22日(金曜日)アップ予定です!