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Sachiko Tejima

Mika Tanaka

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Kano Nakashima

ワインと料理のはなし – 2

軽やかなきんぴら、果実味ぎゅっ アルザスの白 後編

September 30, 2019
From: 田中美佳
To: 手島幸子
Subject: !!

幸子さん

幸子さんからいただいたワインに合うきんぴらのヒントをもとに、
極細、太白油、砂糖なし、サラダ感覚のイメージで作ってみました。
味をつけてすぐは、これでいいのか?というぼんやりした味に感じたのですが、
少し冷ましたところでつまんでみると…
!!
これは、もう別物ですね。
もっと食べたい、と、食べ終わらぬうちから思わずもう1回同じ量を作りました。

ワインとの相性はまた追ってメールします 。

美佳

October 01, 2019
From: 田中美佳
To: 手島幸子
Subject: 赤と白、いったりきたり

幸子さん

こんばんは。
今宵も夕食後はきんぴら修行。
またさらに薄く、細く切ることができたのでにんまり。

きんぴらにしっくりくる赤。
シラーなど合いそうだなあ…とぼんやり思っていたところで目が合ったのは、
フランス・北ローヌのダール・エ・リボという生産者さんのワイン
(ダール・エ・リボのルネジャンは、とどろきが自然派ワインを扱い始める大きなきっかけとなった人です)。
ラベルもかわいくて、おいしそうな雰囲気ぷんぷん。

ぷは〜 これはまた素敵なワイン。
すみれやカシスのような香り、素直でたっぷりした果実はやさしく、絶妙に涼やかでスパイシー。
まったくストレスなく、するするとのどを通り、からだに心地よく染み込んでいきます。

ちょうど日本酒を切らしていたので、代わりに白ワインを使って、
太白ごま油にオリーブオイルを少し加えて、ちょっぴりワイン寄りのきんぴらに。
幸子アドバイスのフレーバーを実践すべく、きんぴらそのまま、すり胡麻をまぶしたもの、かぼすを搾ったもの、をお皿に盛っていざ。

少し肌寒くなってきた秋の夜には、
すり胡麻をしっかり絡ませたものとこの赤との組み合わせはコクがあってあたたかさを感じます。
そこで、フリックのピノブランも新たに開けて合わせてみました。
時間がなくてしっかり冷えていない温度だったのですが、その偶然の温度がぴしゃり。
しっかり冷やした状態よりも酸と果実味がおだやかになって、きんぴらとの絡みがさらに自然になりました。
温度も大きなポイントですね。
この白との、自然で素直な相性のよさを体感すると、
赤の場合はワインの方が強くて勝ってしまっているのがわかります。
この赤は、ナッツ類や香り高いきのこ、スパイスの入った煮込みなどと合わせたくなってきました。

このきんぴらはベースがシンプルなので、
最後のひとふり、ひと搾り、でいろいろなワインとの相性を叶えてくれますね。
唐辛子や山椒などのスパイスも試してみたい。
そのときはワインは少し冷やしめでもいいかもしれません。

というわけで、この秋のきんぴらワインはピエール・フリックのピノブランに決定!
早速浅草に送る準備をします。

美佳

October 02, 2019
From: 手島幸子
To: 田中美佳
Subject: 食欲の秋へ

美佳ちゃん

お疲れのところ、きんぴら修行!
極細の千切りのにんじんとごぼうが美しいー!
おいしく仕上がる時って、切っている時から、
素材の美しさにうっとりするんだよね。
いつも、極細きんぴらを作る時は、
「集中!」の二文字を心に刻んで(大袈裟!!)お腹に力を入れて、切り始めるの(笑)。
細く切ろうって強く思わないと、だんだん気持ちが緩んで、
切り終わる頃には太くなって、がっかりしちゃうの。
短時間でささっと炒めるためには、火の通りを均一に。
意外とサイズを揃えるって、大事なポイントになるんだよね。

そして、味つけに、日本酒代わりの白ワイン!
さらにオイルはオリーブオイルもプラスしたり、
ワインに合わせて、美佳ちゃんのきんぴらの味ができあがっていくプロセス、
何だか楽しそう。
きんぴらフレーバーも楽しんで頂けて嬉しいです。

ワインも赤から白へ戻って、ドラマチックな展開に(笑)。
ワインが温度によって味や香りが変化するのも面白い。
白ワインも常温だと酸味がやわらぐから、
根菜の滋味深い味とお醤油に響くのかもしれないね。
きんぴらに合う白ワイン、ピエール・フリックのピノブラン、
届くのが待ち遠しいです!!

けど、きんぴらに合う赤ワインのシラーも気になります。
秋といえば、きのこの季節。
実は、美佳ちゃんに、秋深まってくると恋しくなる!
きのこ風味たっぷりの豚肉の煮込みに合うワインを相談したいと思っていたところなの。
おいしいやり取りをしていると、ワインと料理もシンクロしてくるよね。
赤ワインに関しては、また後日、相談に乗ってね。

そうそう、先日、料理教室の買い物に行ったら、
秋鮭コーナーで真っ赤に輝くイクラと目が合ってしまったの。
教室の仕込みがあるので、イクラどころではない!って思いつつ、
タイミングよく!?新潟の実家から「新米送るよ」の連絡があり、
思わず連れて帰ってきちゃった。
最近、ワインを飲むと、ご飯をパスすることが多いんだけど、
新米の季節は、ピカピカのご飯にそそられて、
飲みの後に〆ご飯、復活!
今夜は、できあがったばかりの「イクラの醤油漬け」を乗っけて、
実りの秋のお祝い気分で紅白ご飯にうっとり。
やっぱりご飯はおいしいなー。お代わりしちゃおうかなって葛藤する日々が続きそう(笑)。
あー!テジ家、食欲の秋、邁進中です。

テジマサチコ

次回は11月11日(月曜日)アップ予定です!