(写真手紙からのつづき)

Text&Photo

Sachiko Tejima

Mika Tanaka

Edit

Kano Nakashima

おわりに

参加メンバーは、入社したばかりのアイリーン、山梨の共栄堂で泊まり込みもしているワイン修行中のつかちん、ワイナリーで働いたこともあり元料理人でもある千香、そしてボス(轟木)&やっこちん夫妻。

料理経験値もバラバラなので、あーでもないこーでもないといいながら作業。

いっしょに料理をするところからスタートって、すごくいいですね。
食べるだけの時より、笑った回数が多いような、場の空気が数℃か高いような気がしました。

料理とワインの相性は、お皿の空くスピードと空いたボトルの数を見ればいうまでもなく!
飲んべえ食いしんぼうのテーブルでの反応は、まちがいなく正直です。

次があるならボウルとバットがたくさん欲しいよね、経費で買う? (とボスをちらり)
という話にもなり、とどろき料理部結成か…?!
そしていつか幸子さんを講師に迎える日を妄想しています。

美佳

とどろきスタッフ試作試食会レポート

景気づけに、ドメーヌ・ナカジマのロゼペティアンをグラスに注いで、試作スタート。

キャロットラペは、ネーブル、日向夏、ブラッドオレンジの柑橘違いで3種類。

黒酢炒めは、メンバーの好みに合わせて、花椒を気持ち多めに。

約2時間かけて作り、ワインと合わせながら同じくらいの時間をかけて平らげた。

春巻きに生ハムとろりはひと口でおいしー!の声が上がり、黒酢炒めは、豆苗セロリサラダと木耳マリネといっしょに口に入れたときの、歯ごたえと味がかけ算されるおいしさったら止まらない。

鍋ごと出てきたやっこちん十八番のスパイスたっぷりカスレ風煮込みとKVは、ほっとするやさしい相性。

ワインは、レヌッツァ、KVに続いて、ボスセレクトの3本(白クール・ド・レザン、赤ジャジャ、イタリアのオレンジワイン)、共栄堂のクレレ、橙をきれいに空にして、お開きとなりました。

参加メンバー:木山愛理、塚本浩輔、大坪千香、轟木渡、轟木保子、田中美佳

ワイン紹介

Wataru Todoroki

(とどろき酒店・店主)

  • レヌッツァ ソーヴィニヨンブラン 2017

    レヌッツァとの出会いは、輸入元の「相模屋」の案内を何気に読んでいるときだった。「着きたてだけど、すでにバランスがよい」くらいの文章が目について、お試しで入荷したものだ。

    イタリア・フリウリと言えば、当店的にはオレンジワインの聖地。ラディコン、カステラーダ、グラヴネルに代表される、白ワインながら醸しの技法で、オレンジがかった濃い色調のワインを、まず思いつく。だが、ほとんど情報を入れずに飲んだレヌッツァのソーヴィニヨンブランは、クリーンで伸びやかなスタイル。

    硬質な、シャキッとしたタイプとも、人気のオリヴィエ・ボノームの旨みまったり系とも違い、柑橘をまとった香りに出汁的な旨みを持った、程よいふっくら系。「ああ、ご飯がおいしくなるワインだな」というのが第一印象(そう、相模屋らしい。相模屋のワインのセレクションは、僕の見解では、〝圧倒的な個性を放つ…とかよりも、食事に寄り添う、滋味あるワイン〟。結果、わが家の空瓶の中でも、結構な比率となってしまっている)。

    これはレストランでも使い勝手がよく、居酒屋や家庭の食卓もカバーしてくれる素敵なヤツだと思い、おすすめしているわけです。

  • カリーム・ヴィオネ ボージョレー・ヴィラージュ キュヴェKV(カーヴェー)2017

    以前からカリーム・ヴィオネのワインはいくつか飲んでいたけど、特にひっかかることはなく、店のラインナップに加えることもなかった。その後、店の定番になったのは、ワイナリーをたずねた時の印象がよかったからだ。

    2014年にボージョレー地方を周った時のこと。フレデリック・コサールと共作でワインのリリースをするというケヴィン・デコンブをジャン・フォワイヤールといっしょに訪問予定だったのだが、近くだし、とついでにカリーム・ヴィオネにも立ち寄ってみたのだ。

    現れたカリーム氏は、小太りの明るく元気なおっちゃんで、日本なら商店街の八百屋にでも立っていそうな雰囲気だ。陽気に話しながら、畑と醸造所を案内してくれる。試飲して驚いた。今までの印象と違い、実にみずみずしく、ガメイ(イチゴなどの赤系果実のフレッシュな香りとスムースな飲み口が特徴。自然派ワイン好きと自然派ワインの造り手の双方から愛されるブドウ)の気楽なおいしさを体現した、ヴァン・ド・ソワフ(喉の渇きを潤すワイン)ではないか。人懐っこい笑顔で、次々と試飲をさせてもらったからには、もう扱うしかない。

    当時の、KVに相当するワインは、エチケットがSF的な感じでナチュール感に欠けるなと思っていたが、今のエチケットに変わってから、カリーム氏の雰囲気がよく出て、いい感じだ。まだまだガメイというと、大手のボージョレー・ヌーヴォーのよろしくないイメージを持たれがちだが、エチケットも味わいもキャッチーなこのワインで、ナチュールなガメイの楽しみを味わってもらえるとうれしい。