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Sachiko Tejima

Mika Tanaka

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Kano Nakashima

ワインと料理のはなし – 3

春を包む

April 07, 2019
From: 田中美佳
To: 手島幸子
Subject: ぶどうも芽吹く

幸子さん

店の前のれんげは役目を終えて刈り取られ、
山越えの通勤路のあちらこちらで咲いていた桜も、葉桜になってきました。
私たちが5年前からオリジナルのワイン(ローズボッサ)を造っている筑後地方では、
ぶどうも芽吹きの季節を迎えているようです。

そういえば今年は、2月にスタッフ研修で
名古屋のアズッカ・エ・ズッコへ行き、
3月はコップの会、コップの会スピンオフ、とイベントも続いて、
日本ワインづいている春です。

さて、今日もせっせと山を越え、いつもより1時間ほど早く帰宅。
夕飯は、母作の味噌汁(小松菜、しめじ、油揚げ)と、
鰆のうす塩焼き(大好物)、大根おろし。
あー、ありがたい。

飲まない日は、こんな、朝ごはんのような夜ごはんが好みです。
そしてデザートは、またまた日向夏にメープルシロップ。
これもいい組合せです。
自然な甘みがうれしい、メープルさまさまです。

ザ・日本、ザ・東京、ザ・浅草、な風景!
いつか幸子さんに浅草案内してもらいたいです!

そして浅草は、三社祭の準備が始まるのですね。
博多の山笠は、6月1日から準備が始まります(祭り自体は7月1日から)。
町で長法被に雪駄姿の山男たちをちらほら見かけるようになると、
夏のはじまりと祭りのはじまりを感じます。

そういえば、山男たちは、山笠期間中はきゅうりを食べません。
(きゅうりがおいしいときなのに!)
輪切りにしたきゅうりの断面が、
山笠の神様の紋に似ているからだそうです。

今ごろ幸子さんとテジさんは、
春を包んで、最後の一杯ずつを楽しんでいらっしゃる頃でしょうか。
報告が待ち遠しいです。

美佳

April 08, 2019
From: 手島幸子
To: 田中美佳
Subject: ラスト一杯!

美佳ちゃん

こんにちは。
野菜だけじゃなくて、ぶどうも芽吹きの季節なんだね。
ここ数年、新潟の実家に帰省する時には、
海を見ながらカーブドッチワイナリーへ。
その土地のワインと新鮮な野菜や魚との素敵な出会い!
日本のワインも興味が尽きないね。

それにしても、山笠祭りの話、きゅうりを食べないなんて!
逆に、浅草の三社祭は、そら豆が大量消費されるの。
お祭りのお振る舞いに「そら豆の塩茹で」が欠かせないので、
八百屋で箱で注文する人たちも。
そら豆見ただけで、祭りモードにスイッチが!(笑)

さてさて、ワインと合わせた料理の報告も本日でラストに。
昨晩は、白ワインのフリウリの「レヌッツァ」、
赤ワインのボージョレ―の「カリーム・ヴィオネ(KV)」、
白赤のグラスを並べて料理を楽しみました。

まずは、ワインの変化を確認するためにテイスティング!
レヌッツァは、やわらかな果実の香りに変化して、さらに飲み心地よく。
KVは、一週間たって果実の香りが漂ってきて、
嬉しい驚き。
どちらも、お味はまだまだ楽しめるおいしさでした。

お料理は、予告の通り、「春を包む」がテーマ!
まずは「春キャベツとパルミジャーノチーズの春巻き 生ハム添え」から。
テジめしに来る友人たちの間でも大人気で、
フィンガーフードとしても楽しめる料理です。
最近は、この春巻きをグリッシーニに見立てて、
熱々のうちに生ハムを巻きつけて、
ラードがちょっと溶けてきたところを食べるのがお気に入り。
レヌッツァを最初に飲んだときに、
鶏のグリル、そして生ハムの塩気とも合いそうだなって思っていたの。

結論はね、白、赤どちらにも合ったけど、
レヌッツァと素晴らしい相性!
キャベツの甘み、春巻きの香ばしさ、生ハムの塩気に反応して、
より芳醇なお味になって、「旨っ!」。
レヌッツァを勢いで飲み干してしまいたい
気持ちをおさえるのが大変なほど(笑)。

続いて、「春を包む」第二弾!
「そら豆と新玉ねぎの水餃子」に黒酢ダレと香菜、豆板醤を添えて。
やさしい味に、少しパンチのある旨味ダレをつけていただくのがテジめし流。
餃子の具は、味もカタチも愛らしくて大好きなそら豆を刻んで、
豚肉、甘くてジューシーな新玉ねぎと合わせます。
黒酢ダレは、黒酢に米酢、醤油、オイスターソースを混ぜるだけ
(酸味を強く感じる時は、メープルシロップを隠し味程度に加える)。
このタレと香菜、そら豆、KVとの相性が抜群。
水餃子をちゅるんと食べては、ワインを飲んで、
行ったり来たり。
あー、グラスからワインがどんどん減っていくー、
お名残りおしゅうございますって感じ。

とどろき酒店からワインが届いて、ワクワクしながら抜栓。
一週間近くかけて、何に合わせて飲もうかと思いめぐらせる、
幸せな時間でした。
美佳ちゃん、いつも愛あるセレクトをありがとう。

テジマサチコ

April 09, 2019
From: 田中美佳
To: 手島幸子
Subject: すぐ作りたくなる料理って

幸子さん

こんばんは。

春キャベツとパルミジャーノの春巻をグリッシーニに見立てて
生ハムを…脂がとろりとしたところで…くぅ~。
そして、そら豆と新たまねぎの水餃子に黒酢ダレ。
どちらも、すぐに作りたくなるオーラがびしびし出ています。

おいしそうなレシピってたくさんありますが、
すぐに作りたくなる、何度も作っちゃうお料理って、ありますよね。
その魅力ってなんでしょうね。

そういえば、先週出店したイベントで出会ったみかん農家さんに、
サラダに使うネーブルが欲しいという話をしたところ、
「サラダなら、晩白柚(ばんぺいゆ)とかがいいんやない?」とのこと。
その農家さんの好みとしては晩白柚(ばんぺいゆ)や日向夏のような、
少し苦味のある柑橘がおすすめとのことでした。ふむふむ。
幸子さんのトマトのマリネもいろんな柑橘で試してみたくなりました。

幸子さんに送ったKVは、後から香りが開いてきたようですね。
そして、レヌッツァとKV、最後の一滴まで!?、
楽しんでいただけてよかったです。
この2本は、開けて1週間しっかりおいしく楽しめましたね。

そのワインの変化を楽しみつつ、幸子さんからの報告メールに刺激を受けて、
料理と合わせてみるのが楽しいこと!
この楽しさは、おいしいものに目がないとどろきスタッフと共有せねばです。
今週、みんなで作って、食べて、飲んでみる予定です。
レシピ、楽しみにお待ちしています。

美佳

  • レヌッツァ

    白ワイン

    正式名は「レヌッツァ ソーヴィニヨン 2017」
    1900年頃から農業・家畜業で生計を立てていたレヌッツァ家は、1954年より本格的にワイナリーとして歩みを始めた。1990年頃より自然環境を重んじた農法へと移行を始める。現在は7haの畑より約40,000本をボトル詰め。畑では自然との調和・バランスを最も大切にしており、あらゆる植物や生物が暮らす自然環境をそのまま残しつつ、ブドウ栽培を行う。淡い麦わらの色調。レモングラスやスパイス、オイリーなニュアンスも感じます。口に含むと爽やかな果実味が広がります。(ソーヴィニヨン)

    イタリア / フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア

  • カリーム・ヴィオネ(KV)

    赤ワイン

    正式名は「カリーム・ヴィオネ ボージョレー・ヴィラージュ キュヴェ “ KV カー・ヴェー ” 2017」
    1990年、ジャンポールテヴネの兄のドメーヌで16年間働き、2000年にボジョレーの醸造学校に通いつつ、マルセルラピエールやジャンポールテヴネ、ギィブルトンで自然派を学ぶ。2002年からギイブルトンのドメーヌの畑と醸造責任者を兼務しつつ、2006年自らのドメーヌを新しく立ち上げる。カリームのフレンドリーな人柄、ブドウをほうばった時のようなピュアで果実味溢れるワイン、そして本人をモデルにした好インパクトなラベル(ミッシェル・トルメー氏によるデザイン)。「人・ワイン・ラベル」のイメージが見事に一体となっています。(ガメイ)

    フランス / ボージョレー