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no music, no sake, no life

静かなほうが落ち着いて飲める。‥という方もたくさんいると思う。

しかし、僕はなぜか音楽が流れているとついついグラスに手を伸ばしてしまう。

イギリスにあるポーツマス大学のロレンツォ・スタッフォード博士(Lorenzo Stafford)は、環境によるお酒の味の変化についての実験を行ったそうです。

その実験とは、まず被験者たち男女80人に「静かな場所」「音楽のみが流れている場所」「音楽とテレビのニュース音声が同時に流れている場所」といった異なる環境で色々な種類のお酒を飲んでもらい、甘さや苦さなどの味を記録してもらうというものです。

その結果、「音楽のみが流れている場所」という環境では、その他の環境と比べてお酒の味を甘いと感じる傾向が著しく増すことがわかったというのです。

人間の祖先は狩猟、採取生活をしていたことから、本能的に危険な食物摂取から身を守るため、苦味や酸味を「嫌な味=毒=不可食」と判断し、甘味を「好ましい味=毒ではない=可食=美味しい」と判断していたといわれています。

どうやら『人間は本能的に甘味を好む』ようですね。

ということで、僕の大好きな『JAZZ』に合わせてワインを選んでみました。

1950年代に西海岸で流行ったウエストコーストジャズの代表的なジャズミュージシャンの一人『チェット ベイカー』。

甘いマスクに中性的な歌声、クールなトランペットの演奏・・・。

彼のトランペットから放たれるノン ビブラートの音はまっすぐに空気に刺さり、そして不思議なくらいあっさりと消えていく。歌は歌になりきらないうちに、僕らを取り囲む壁に飲み込まれていくような浮遊感、不安定さがたまらない。

チェットベイカーは沢山のアルバムがありますが、これが1番聴きやすいと思います。

『CHET BAKER SINGS』

「彼の歌は、無邪気な甘ったるさで女の子たちをなぎたおした」(レックスリード)

と言われるようにめちゃめちゃ甘いアルバムです。

それに合わせるのはフランス アルザス地方のドメーヌ ヴァランタン チュスラン のゲヴェルツトラミネール ボーレンベルグ2012。(¥2,200)

白い花やライチの香りがグラスいっぱいに広がり、雑味や重さを一切感じさせない直線的で輪郭のはっきりとした味わい。貴腐が一部入っている為、豊かな甘みが心地よく続くワイン。リピーターが多いワインです。

チェットの甘く浮遊感のある歌声とチュスランの豊かな甘さが最高にマリアージュしますよー。

たまには音楽を聴きながら美味しいワインや日本酒、焼酎を愉しむのも良いかもしれませんね。