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2019. 12

山形へ ③ 酒井ワイナリー編

山形へ ① リンゴリらっぱ編はこちら
山形へ ② イエロー・マジック・ワイナリー編はこちら

ここからのレポートはつかちんこと塚本にバトンタッチです。

南陽市赤湯、イエローマジックワイナリーから車で5分ほど行くと「酒井ワイナリー」はあります。
先程とはガラリと変わって、歴史を感じる直売所の奥には、さらに歴史を重ねたであろうワイナリーがありました。

1892年(明治25年)にぶどう酒醸造業を始めた酒井家は現在、20代目(ワイナリーとしては5代目)の酒井一平さんが当主をつとめます。

酒井さんにワイナリー内を案内してもらうと、機材も道具もちょっと古めかしい感じ。
本来なら日本酒を搾るためのプレス機や、ブドウジュース造りに使っている機械も残っていて、
かい入れ棒はなんと50年は使っているという木製!(酒井さんよりも年上!)

「創業時のワイン造りの文化自体が無かったときは、杉の内側に漆を塗った桶でワインづくりをやってました。古樽が良いとはよく言われますが、特に木製の道具は使い込みがその蔵の個性につながると思っています。」

そう酒井さんが言うように、酒井ワイナリー自社畑のブドウを使ったキュヴェでは、その古い機材たちが使われています。プレス時間の設定も出来ないので、感覚で作業をするしかないのですが、それが人間のアバウトさ、人間味を表現できるのだそうです。

次は、明治7年にまだ酒井家が旅館もやっていた頃から使ってるという土蔵セラーへ。
そこに並んでいるのは樽と一升瓶!フルボトル(750ml)が日本に無いころはそのまま販売でしたし、その後も澱引きや貯蔵用で一升瓶を使っているのです。一升瓶だとタンクよりも澱との接触面が大きく、そこもワイナリーの個性になっているのかも?と酒井さんは分析します。

あの「まぜこぜワイン」は、一升瓶の底に残った澱を集めて、また澱引きをすることによって出来上がったワイン。いろんなキュヴェが混ざり合っているから「まぜこぜ」なんです。

「まぜこぜワインが人気になったのも、昔からやってきた蔵の歴史がうまく体現出来ていたから。
”デザインしたワイン”でなくて、結果的にまぜこぜワインで表現できた”よく分からないけど酒井ワイナリーや赤湯っぽいよね”という、技術を超えたところにあるものを造っていきたいです。」

「なんとなく」とか「っぽい」がどういうものかを拾っていくのが僕らの仕事でもあるのでしょうが、古い設備を使ったからこの味が出たという単純なものでも無いようで。。。

なんで自分が自然なワインが好きなのかを、もう一度考えたくなるような体験ができました。
一平さん、スタッフさん本当にありがとうございました!!

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お燗のオススメ温度 〜熟成タイプ その4 十旭日 改良雄町 生もと純米〜

熟成タイプ最後に紹介するのは、
熟成させてしっかり味を出すタイプのお酒、十旭日です。

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熟成タイプ その4
十旭日 改良雄町 生もと純米じゅうじあさひ かいりょうおまち きもと
(旭日酒造・島根)

“ほどよい熟成感 後口はドライ”
.
「酒本来の味はできるだけ残す」という信念のもと、
コクはあるけれど後切れのいいのどごしのお酒を造る十旭日。
この生もと純米のほどよい熟成感ときめ細やかな口あたりは、
食事とともにあるお酒を意識していることがよくわかる。

♨️オススメ温度.
お酒単体で飲むとなると40℃が心地いいが、
45℃まであげるとすっきりとキレとほろ苦さで食事が進みそう。.

1.8l 2900円
http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=105804183

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副杜氏のエリィさんこと寺田栄里子さんとは同世代。
数年前に蔵を訪問したときに、
「もう無理はできないお年頃よねぇ」なんて同世代トークをして親近感倍増。
蔵を見学させていただいている間だけでも、蔵人さんたちとの関わり方、
外の人たちからの声のかけられ方を見ていると、
どの世代の方とも親密なおつきあいをされていて、
頼りにされている、キップのいいお人柄が感じられました。

山形へ②イエロー・マジック・ワイナリー編

山形へ ① リンゴリらっぱ編はこちら

さて、翌日はワイナリー3軒を巡ります。
朝、宿泊した天童市から南陽市赤湯へ移動。
赤湯は歴史の古い温泉街。
赤湯では、今年9月に生まれたばかりの『Yellow Magic Winery(以下YMW)』と
東北で最も古いワイナリーである『酒井ワイナリー』を訪ねます。

YMWと聞くとやっぱり思い出されるのは、YMO(Yellow Magic Orchestra)ですよね。
代表の岩谷さんご本人は、どこかグルービーというか体の中にリズムが鳴っていそうに感じる方です。

YMW自体は若いワイナリーですが、岩谷さんのワイン造り歴は28年。
もともとアパレルメーカーに就職。したはずが、
そのアパレルメーカーが立ち上げたワイナリー部門(滋賀のヒトミワイナリー)でぶどう栽培をし、
ワインメーカーとなって当時日本ワインではほとんど見ることのなかったにごりワインを誕生させた超本人であり、
その後も大阪のワイナリーで醸造を担ってこられた、という独特なキャリアの持ち主です。

そんな岩谷さんが自身のワイナリーを立ち上げる場所として選んだのが、
ぶどう、特にデラウエアの産地として歴史のある南陽市(赤湯)。
岩谷さんの畑は、米沢から吹いてくる風が流れ、空気のたまりがない。
その風のおかげでぶどうの病気も出にくいので、ビニールの傘さえつけておけば、
農薬も、ボルドー液*もまく必要がないのだそう。
“自然派”と意識しているというよりも、
使わなくていいのであれば使わない方がいいよね。というスタンス。

聞くと、このあたりは古くから農業の先駆的な土地柄だそう。
隣に位置する高畠町は、有機農業運動の発祥の地。
その考えに共感してiターンする人も多く、そういう人を愛情を込めて“タカハタ病”と呼ぶのだとか。
またヒトミワイナリー時代からつきあいのある南果連(なんかれん)という有機のぶどうをつくる団体もあって、ステージの高いワインをつくるためのぶどうが育つ土壌がしっかりそろっている。
こういった土地の気風も、岩谷さんがこの土地に呼ばれた理由なのでしょう。

醸造所で一つ一つのタンクの説明を聞いていると、
「これは搾ってそのままでほとんど何もしない。このタンクもそう、2日に1回くらい櫂入れをするくらいでほとんど触らない。ここでタンクを貸してる奴(ワイン生産)もびびってるけどね(笑)」と、岩谷さん独特の“放置プレイ”醸造の様子が明らかに。その放置っぷりは、様々な自然派の生産者と接してきたボス轟木も驚いている様子でした。

ワインを造ってきて28年、造り方はどんどん手抜きになってきている。
「白い透明なの(ワイン)は違うだろー! ヤミ酒ってこんなモンだよね(笑)。 僕は、余韻が長いような、食べものを噛んでいるような味にしたいんだよ。トップがあってストンと落ちるようなものは造りたくない。とにかくぶどうを信じた造りをしたい。そのためには小細工なんて必要ないでしょう?」

確かに岩谷さんを“自然派”と括るにはどこかしっくりこない。
川釣り用のつなぎを着て大量のぶどうの実の中に身を投じ、体を捻りながら搾るという岩谷さんのエピソードが頭をよぎります。自然派というよりももっと本能的で、もっとフィジカルで土着的な、別の呼び名がないものだろうか、とあの日から探しています。

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お燗のオススメ温度 〜熟成タイプ その3 独楽蔵 悠五年 純米古酒〜

さてさて熟成タイプの3酒めに登場するのは、
我らが福岡の燗酒といえば!の独楽蔵(こまぐら)です。

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熟成タイプ その3.
独楽蔵 悠五年(こまぐら はるかごねん) 純米古酒
(杜の蔵・福岡)

“福岡の燗といえば! 五年寝かせた安定感”.
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独特の香ばしい熟成香、見た目は琥珀色でしっかり古酒ですが、
飲み口は意外と軽やかでまろやか。
「酸」と「熟成」のバランスをとことん追求し、
五年以上寝かせている。
中華や肉料理、スパイス系などとの相性も抜群。
古酒の可能性を感じる一本。

♨️オススメ温度.
40℃で味わいが出て、45℃で角が落ち、50℃でスッキリ飲める。
温度をあげても暴れないさすがの安定感。

1.8l 3500円
720ml 1750円

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独楽蔵を造る杜の蔵の代表森永さんは、人呼んでお燗番長。
かつて20代だった私に燗酒を教えてくれた人でもあります。
温度の違いで味が変わるということ、同じ40℃でも冷やから40℃になったものと、
一度45℃に上げてから40℃に冷ましたものでは味が変わるということ、
おなかの空き具合でもおいしいと変わる温度が変わることなどなど。
その教えは年々体に染み渡り、あたたかいお出汁のお料理をいただくときには、
あたためたお酒が欲しくなる体質になってしまいましたばい。

LINEスタンプ『お酒大好きトッドちゃん』

とどろき酒店のイメージキャラクターであるトドのトッドちゃん。
ついにLINEスタンプになりました!

お酒大好きトッドちゃん
https://store.line.me/stickershop/product/10099474

いままで横顔で鎮座している姿しか見せていなかった謎めいた存在でしたが、
このスタンプではあんな格好やこんな格好もしています。

飲みスケさんたちにはきっと使い勝手のいいスタンプになっているはず!ですので、
ぜひお見知りおきを〜!

飲み友だちへのクリスマスプレゼントにもどうぞ〜!