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行ってきました! とどろき酒店 焼酎蔵研修 1/3(中村酒造場編)

ども、モーリーです!

街並木が紅葉したこの季節、鹿児島ではサツマイモが実りの秋真っ只中!
この時期に各焼酎蔵は焼酎造りの最盛期を迎えます。

日本酒にも新酒があるように、焼酎にも年にこの時期だけしか味わえない新焼酎がお目見えするんです。そんな楽しい時期をほっとく訳ありません!って事でスタッフ皆んなで焼酎の研修に行ってきました。博多駅から新幹線で鹿児島中央駅へ向かい、まずはレンタカーを借りて国分にある中村酒造場へ! 40分ほどの道中、突然見えた桜島に一同テンションMAX。遠目でもわかる雄大な桜島の迫力と、モクモク煙をあげる力強さにいつしか心は西郷どんになってました。

高速を降りて田園風景が広がる国分平野の真ん中にポツンと見える煙突屋根、のどかな自然の中に中村酒造場は蔵を構えます。

中村酒造場は明治21年(1888年)から続く焼酎蔵で、現在は六代目の中村慎弥さんが造りの舵を取っています。慎弥さんは東京の大学で醸造学を学び、日本酒蔵や酒販店で経験を重ね26歳の時に蔵に戻ってきました。33歳という若さで蔵の製造を任せられる凄い方なんです。

蔵の中を案内していただくと、フワッと漂う芋焼酎の美味しそうな香りが。様々な機械はフル稼働で熱気に包まれていました。まずは鹿児島県内でも珍しい石造りで出来た麹室(こうじむろ)を案内していただきました。麹室へ入るとモワッと熱気と湿度が全身を覆い、ジワジワ汗が吹き出してきます。麹室の温度は40度! サウナ のような暑さもさることながら、もっと暑い、いや熱い熱気がムンムンと慎弥さんから溢れ出してきます。

「この麹室は、実は暖房器具はないんです。普通は暖房で暖めて麹菌の働きを促すんですが、うちは麹が放つ熱気(麹菌が働くときに発する熱)で40度ぐらいは温度が上がるんですよ」

確かに周りに暖房器具は無く、麹菌の働きでサウナのような環境が生み出されるなんて、初めて体験しました!

「皆さん、しゃがんでみてください。下の方は涼しいでしょ? 麹の具合によって低い所と高い所を入れ替えながら製麹(せいきく)していくんです」

なるほど! っと一同頷きながら額には汗、シャツも汗、ってかびっちょり。
しかし火がついた慎弥さんの話しはヒートアップ!

「実は蒸した米をただこの麹室に放置してみたら、白麹と黒麹、さらに黄麹が出来たんです。うちは現在白麹(一部黒麹)を使っています。大昔に黒麹が琉球から渡ってくる前、鹿児島は黄麹で焼酎を造っていたという事実があります。その黄麹がずっとこの麹室に住んでいたんですね。この麹室は代々伝統を引き継いでいたってことなんですよね」

暑い暑い麹室から出て、次に向かった先は一次醪(もろみ)の甕。プクプク発酵が始まりほんのり柑橘の香りが漂います。一口食べると爽やかで少しピリピリした酸味が感じられます。

二次醪の甕は、蒸した芋が入り一次醪よりも活発に発酵が進んでいました。近づくとリンゴの甘酸っぱい香りが。先程よりも熟した果実感と酸味もまろやかで味わいに深みが増してます。

常圧蒸留器で蒸留された出来立ての『なかむら』は、通常数カ月貯蔵されて味わいや香りを落ち着かせて出荷されますが、この日は出来立てを見せていただきました。香りは柑橘や果実の香り、若葉や後からバニラ、アーモンドの香りも感じられます。慎弥さんは「通常のなかむらは炭酸割りには合いませんが、蒸留したてのなかむらは香りの荒さがソーダ割りにも合う酒質だと思うんですよね」とのこと。

案内始めからノンストップで喋り尽くした慎弥さん、その熱量は心地良く、時間の許す限り聞き入っていたい程でした。これからの焼酎の未来をしっかり見据え、同時に伝統の重さを背負い語る彼の一番の焼酎への思いは「はっきり個性の分かる焼酎を分かり易く伝える」事。個性といえば、近年香り高い酵母で仕込まれた焼酎や、低アルコールなどの個性を出した焼酎がでてきていますが、中村酒造場の焼酎は昔ながらの伝統的な手造り焼酎。特殊な酵母は使わず受け継いだ酵母を使い、地元のお米とサツマイモのみを使い、一つ一つ手づくりで醸す。そうして手づくりで受け継ぐ“何か”が、『なかむら』の個性として飲み手を魅了しているのだと感じさせられました。

素敵な笑顔の中村慎弥さん。
第一陣の蔵案内が終わってホッとしてる束の間、この後もう一つのグループにも同じ熱量をもって語り尽くされているのでした。